大学サービスを4年運営した

2023年今年大学を卒業した hikaeです。 かわいい後輩たちも、既におじさんです。

1年生の終わりから5年生まで、大学生向けのサービスを運営して感じた大学サービスを運営してみる良さについて語っていこうと思います。

自分がやったこと

自分が制作・運営したのは「筑波大学生専門の時間割 Twin:te」です。 当時、筑波大学の特殊な時間割に対応・データ連携できる時間割がないことから、開発がスタートしました。

たこなす(Twitter: @ITF_tako)のプロトタイプをユーザーが使いやすいようにデザインしてリリースしたのが2019年です。 その後、ユーザーが増えるたびにリデザインを繰り返し、今のアプリがV3(2021年~)です。 細かい話は公式ブログに任せます。

自分はフロントエンドとチーム開発の管理を責務としていました。 特にフロントチームは、サーバーのマイクロサービスのように完全に独立した設計でなかったため、複数人で同時並行に開発ができるように工夫したりしていました。*1

権限を委譲する

さて本題です。Twin:teはありがたくも4年目を迎え、順調に引き継ぎが行われています。 どんなに時間をかけても金銭的メリットのないこのコミュニティ。なぜTwin:teが4年目を迎えることができたのか。

サービスを同級生で作ることはできても、それを後輩や新規メンバーに受け継ぐにあたって一番大きな壁は、当事者でないことです。 既にあるサービスに新たな機能をつけようと考えた場合、これまでの遺産を作った人たちの合意が壁になってしまうと思います。 「このプロダクトは自分たちがつくった」といえる状態になれば、新しい意見や開発のモチベーションも出てくると思います。

例えば、自分は後輩*3に対して、ページ単位で機能ごとに全て任せました。HosokawaRは検索ページをすべて作っています。 この状態にしたことで、「この機能は自分が一番詳しい」といった当事者意識が出てくると考えました。

二人とも当事者意識が高く、もともとの性格もあると思いますが、ある程度は寄与していると考えています。

判断をコミュニティに委ねない

コミュニティが大きくなると勝手に動くことができなくなります。こういった時必要な過程が合意形成です。 例えば、大規模なアーキテクチャの変更を行おうと思ったとき、毎回の判断をミーティングやチャットで話していたらメンバーが消耗してモチベーションが下がってしまう原因になります。 合意形成で望ましいのは、作っていいか相手に聞くのではなく、プロトタイプを作った段階で合意を取ることです*4。 自分は4つのサークルに入っていましたが、ミーティングでコミュニティに判断を委ねる習慣ができてくると、真面目な人が消耗する悪循環に陥ると感じました。

営利目的でサービスを作らない

まずは、自分たちのサービスのマネタイズについてです。 Twin:teは寄付を募っており、そこからサーバー代やApple税などの諸経費を払っています。

自分としても、この形式がもっともよい状態だと思います。 いろんなアプローチは考えているのですが、Twin:teの作りたいものを作りたい人がつくるというスタンスが好きなので、今の現状が成り立っている内は変にマネタイズするといった進路変更はないです。

サービスを作りたい人の場合、個人開発やベンチャー立ち上げもよくあるでしょう。これらにないメリットとして、

  • 活動がある程度パブリックなので、人の目につきやすい
  • 大学サービスは攻めている市場が小さく、ブルーオーシャン

といった点がいいと思います。大学サービス発で天下を取ろうとしている〇〇〇ー〇などありますが、最終形態がSNSではすぐに消え去ると思います。大学サービスは非営利団体*2のモデルを踏襲することが望ましいです。

メンバー募集は受け入れて満足しない

これまでの要因を振り返って、新規メンバーを受け入れるにあたって重要なことは、同じモチベーションを持った人がモチベーションのあるうちに当事者意識のできるものを持つことまではコミュニティ運営者の責任であるということです。採用において、自分たちは同じような考えの人は全員受け入れてきました。自分たちのサービスの裁量権を新規メンバーに与える勇気と責任があって初めて採用が機能すると考えています。 そう考えると、初期の段階での採用は、与えられる役割の数だけ採用するのがとてもよいです。僕たちは総務あたりに役割がたくさん残っていますよ。

Twin:teの今後の目標は?

Twin:teはサービスというよりコミュニティというのが正しいですね。Twin:teコミュニティが今後どうなっていくかは、現メンバーしかわかりません。今後増えるメンバーがコミュニティと共に成長して、思いもしないようなコミュニティになってほしいと思っています。引き続き、サポートだけしていく所存です。


参考文献


  • *1: フロントチームは、僕を含めて4人いました。
  • *2: 非営利団体営利団体の違いとして、どちらも収益はあがるのですが、その収益を100%組織の発展に使うのが非営利団体であると認識しています。
  • *3: HosokawaRとhayato24s
  • *4: 今やっていることをお互いが把握しておくのは前提。